リボンの騎士のアニメは4作、見るなら1967年のテレビアニメ
手塚治虫の『リボンの騎士』をもとにしたアニメは、公式に確認できるもので4作あります。
- 1966年のパイロット版(28分)
- 1967年のテレビアニメ(全52話)
- 1999年の短編(8分)
- 2026年のNetflix映画『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』
「リボンの騎士のアニメ」と言われてまず思い浮かぶのは、1967年からフジテレビ系で放送されたテレビアニメです。いま配信で全話そろって見られるのもこの1作だけなので、最初の1本はこれで決まりです。
Netflixの『リボンヒーロー』は「原案」という扱いで、主人公の人物像から作り直しています。1967年版の続きやリメイクを期待して見ると、別の作品に感じるはずです。
リボンの騎士のアニメ4作の違い
手塚治虫公式サイトのアニメ一覧には、2026年10月時点で139件の作品が載っていて、題名に「リボンの騎士」が入るのは3件です。2026年のNetflix版はこの一覧にまだ入っていません。
| 作品 | 発表 | 長さ | 制作 | どんな作品か |
|---|---|---|---|---|
| パイロット版 | 1966年11月 | 28分40秒 | 虫プロダクション | 放送の売り込み用。原作に忠実 |
| テレビアニメ | 1967年4月〜1968年4月、フジテレビ系 | 全52話(1話23分) | 虫プロダクション | ほぼ1話完結に作り変えた連続アニメ |
| 短編 | 1999年12月、京都の手塚治虫ワールドで上映 | 8分 | 手塚プロダクション | 施設のシアター用の短い新作 |
| THE RIBBON HERO リボンヒーロー | 2026年8月、Netflix | 長編映画 | OUTLINE | 原案扱い。人物も話も別物 |
4作のうち、物語を最後まで描いているのは1967年版と『リボンヒーロー』の2作です。パイロット版と短編は、どちらも30分に満たない作品でした。
1967年のテレビアニメ
どんな作品か
1967年4月2日から1968年4月7日まで、フジテレビ系で毎週日曜の夕方に放送されました。制作は虫プロダクション、総監督は手塚治虫本人、音楽は冨田勲です。
舞台はシルバーランドという国。この国では女性が王位を継げないため、王女として生まれたサファイアは王子と偽って育てられます。生まれる前に天使チンク(神様に仕える見習いの天使)がいたずらをして、サファイアは女の子の心と男の子の心を両方持って生まれた、というのが話の始まりです。
この設定は原作のまま残っています。サファイアが剣を取り、王位を狙うジュラルミン大公の陰謀と戦う筋も同じです。
敵役には少し入れ替えがあります。魔王メフィストは少女クラブ版の敵で、なかよし版では魔女ヘル夫人に置き換えられました。テレビ版では、そのメフィストがまた出てきます。
原作との違い
手塚治虫の公式サイトは、なかよし版の原作の解説で、テレビアニメ版を「1話完結形式になり、フランツの役をロックが演じるなど、この原作マンガとは、さらに違う作品になっています」と説明しています。
ロックは、手塚治虫の漫画にいろいろな役で出てくるキャラクターの1人です。サファイアの恋の相手になる隣国の王子フランツを、テレビ版ではそのロックが演じています。
後半はほとんどオリジナルの話です。公式サイトのサブタイトル一覧を見ると、第26話「雪の女王」から第29話まではクールランドのツララ女王がシルバーランドを狙い、第40話「恐怖のX帝国」からはX連合という敵が出てきて、最終回の第52話「シルバーランド幸福に」でサファイアがXを倒します。原作を読んだ人ほど、後半は知らない話の連続になります。
主題歌
主題歌の「リボンの騎士」と「リボンのマーチ」は、作詞が能加平、作曲が冨田勲、歌が前川陽子です。公式サイトの表記は、作曲のところだけ「富田勲」になっています。
少女が主人公のテレビアニメの先駆け
1967年版は「日本で最初の少女向けテレビアニメ」と紹介されることがあります。ただ、東映アニメーションの『魔法使いサリー』は1966年12月5日に放送が始まっていて、『リボンの騎士』より4か月ほど早い作品です。
「最初」とは言えませんが、少女が主人公のテレビアニメとしては、ごく初期の1本です。剣を持って戦うヒロインという点では、魔法で問題を片づけるサリーとはまるで違う作品でした。
原作の漫画のほうは、手塚治虫自身が「日本のストーリー少女漫画の第一号」と書いています(手塚治虫漫画全集のあとがき。公式サイトの「リボンの騎士(少女クラブ版)」のページに抜粋があります)。
1966年のパイロット版
テレビ放送の前年、1966年11月に虫プロダクションが作った28分40秒のカラー作品です。原作・脚本・演出を手塚治虫が1人で担当しました。
公式サイトの解説によると、もともとは虫プロの企画『虫プロランド』の1本として考えられて立ち消えになっていたものが、アメリカのNBCテレビでの放送を狙って再び動き出したそうです。
公式サイトはこのパイロット版を「物語は原作に極めて忠実」と書いています。天使チンクのいたずら、サファイアの誕生と、原作の順番どおりに話が進みます。
声の配役もテレビ版と違い、サファイアは白石冬美が演じました(テレビ版は太田淑子)。原作にいちばん近い映像版はこのパイロット版ですが、28分の短い作品で、テレビ放送もされていません。
1999年の短編
1999年12月4日に、京都駅ビルにあった手塚治虫ワールドの300インチのシアターで上映された8分の作品です。制作は手塚プロダクションで、監督は西田正義。施設は2011年1月に閉館しています。
京都の歴史を紹介するアニメとの2本立てで、火の鳥が語り手になって2本をつなぐ構成だったそうです。サファイアの声は冬馬由美でした。
8分しかないので、物語を追う作品ではありません。テレビ版を見終えて、ほかのサファイアも見てみたいときに見る1本です。バンダイチャンネルとdアニメストアで見放題になっています。
2026年のNetflix映画『リボンヒーロー』
『THE RIBBON HERO リボンヒーロー』は、2026年8月8日にNetflixで世界独占配信が始まった長編アニメ映画です。監督は五十嵐祐貴、制作はOUTLINE。サファイアの声はお笑いコンビ・ラランドのサーヤが担当しました。2026年9月4日から2週間、一部の映画館でも限定上映されました。
クレジットは「原案:手塚治虫『リボンの騎士』より」。原作の物語をなぞった作品ではありません。ORICON NEWSは、『リボンの騎士』を原案にしたアニメは1999年の短編以来27年ぶりだと伝えています。
どこを変えたのか、「別物」「炎上」と言われるのはなぜかは、リボンヒーローが別物に見える理由で原作と比べています。
アニメ以外の映像
『リボンの騎士』は舞台にもなっていて、映像で見られるものがあります。
- 2006年のミュージカル:モーニング娘。・美勇伝と宝塚歌劇のコラボで上演された『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』(バンダイチャンネルの作品紹介による)。DVD3枚組が2006年11月に発売されています
- 2015年のミュージカル:なかよし60周年の記念公演で、サファイアは乃木坂46の生田絵梨花。dアニメストアで公演映像が配信されています
公式サイトの作品情報には、実写の映画やドラマの記載はありません。
どれを見ればいいか
おすすめの順番は次のとおりです。
- 1967年のテレビアニメ:まずはこれ。全52話あるので、最初の数話で合うかを決めて構いません
- 『リボンヒーロー』:テレビ版を見てから見ると、何を変えたのかがよく分かります
- 1999年の短編:8分なので、テレビ版を見た人のおまけとして
原作の話をそのまま映像で見たい人に合うアニメは、実はありません。原作に忠実なのは28分のパイロット版だけです。原作の筋を知りたいなら、漫画を読むのがいちばん早道です。
どこで見られるか
2026年10月14日時点の配信状況です。
| サービス | 1967年テレビアニメ | 1999年短編 | リボンヒーロー | 月額(税込) |
|---|---|---|---|---|
| U-NEXT | 見放題 | - | - | 2,189円 |
| dアニメストア | 見放題 | 見放題 | - | 660円 |
| バンダイチャンネル | 見放題 | 見放題 | - | 1,100円 |
| Prime Video | 配信あり(各話110円のレンタルもあり) | - | - | 600円(プライム会員) |
| Netflix | - | - | 独占配信 | プランによる |
1967年版だけが目当てなら、月額がいちばん安いdアニメストアで足ります。手塚治虫のほかのアニメもまとめて見たいなら、作品数の多いU-NEXTが向いています。サービスごとの比較は手塚治虫アニメはどこで見れるかにまとめました。
ファミ通によると、2026年10月13日まで、手塚プロダクションの公式YouTubeチャンネルで1967年版の全52話が期間限定で無料公開されていました。いまは終わっています。
関西では、eo光チャンネル(地上デジタル11ch)が2026年7月から毎週水曜に1967年版を放送しています。
原作の漫画を読むなら
手塚治虫が自分で描いた『リボンの騎士』は3つあり、どれも文庫全集で読めます。
- 少女クラブ版(1953〜1956年):最初の連載
- なかよし版(1963〜1966年):描き直した版。テレビアニメの直前の連載で、手塚治虫の公式サイトは「一般的に『リボンの騎士』と言うと本作を指すことが多い」と書いています
- 双子の騎士(1958〜1959年、なかよし連載):少女クラブ版の続編。連載時の題名は『リボンの騎士』でした
講談社の手塚治虫文庫全集にはどれも電子版があります。
| 読みたい版 | 文庫全集の巻 | 定価(税込) |
|---|---|---|
| なかよし版 | リボンの騎士(1)(2) | 990円・1,023円 |
| 少女クラブ版 | リボンの騎士(少女クラブ版、全1巻) | 1,100円 |
| 続編 | 双子の騎士 | 990円 |
定価は講談社の商品ページの表示です。
1967年版を見て原作も読みたくなったら、なかよし版の2冊から始めてください。アニメと同じサファイアの物語を、手塚治虫が描いた形で最後まで読めます。
もっと先まで追いたい人には、2025年6月に立東舎から出た『リボンの騎士 ミッシング・ピーシズ』(6,050円)があります。テレビ放送に合わせて1967年に『少女フレンド』で連載された版(原作・手塚治虫、作画・北野英明)を初めて単行本に収め、鈴木出版版の『双子の騎士』と制作資料も加えた本です。
文庫全集とほかの全集の違いは手塚治虫文庫全集と漫画全集の違いで、電子書籍のストア選びは手塚治虫の電子書籍はどこで読めるかで比べています。
