手塚治虫の漫画おすすめランキング|いま読むべき16作の判定

結論:最初の1冊は『ブラック・ジャック』、最高傑作は『火の鳥』

手塚治虫の漫画を初めて読むなら、『ブラック・ジャック』から始めてください。1話ごとに話が終わるので、どこで手を止めても損をしません。

最高傑作は『火の鳥』です。なかでも奈良時代を舞台にした「鳳凰編」が、手塚作品の中でいちばん完成度の高い1編だと判定します。大人が長編を1作だけ選ぶなら『アドルフに告ぐ』(全3巻)にしてください。

反対に、名前がいちばん知られている『鉄腕アトム』と『ジャングル大帝』は、最初の1冊に向きません。どちらも1950年代に始まった子ども向けの作品で、いま初めて読むとテンポも絵も古く感じます。

順位は、いま初めて読む人が最後まで面白く読めるかを第一に、長さ(途中で挫折しにくいか)を次に見て付けました。巻数は、代表作がひととおりそろっていて電子版もある講談社「手塚治虫文庫全集」での冊数です。

順位作品ひとことで言うと文庫全集の巻数
1ブラック・ジャック無免許の天才外科医の1話完結の医療ドラマ12巻
2火の鳥不死の鳥をめぐって古代と未来を行き来する連作11巻
3アドルフに告ぐ3人のアドルフを軸にした戦時下の日本とドイツの話3巻
4ブッダ釈迦の一代記を大胆に脚色した長編7巻
5陽だまりの樹幕末の武士と蘭方医の青春群像6巻
6どろろ体を魔物に奪われた少年の戦国怪奇行2巻
7奇子(あやこ)土蔵に閉じ込められた少女と地主一族の戦後史2巻
8三つ目がとおる第三の目を持つ中学生の古代遺跡ミステリー7巻
9MW(ムウ)美しい悪人が主人公の犯罪劇2巻
10きりひと讃歌犬の姿になる奇病にかかった医師の受難劇2巻
11ばるぼら小説家と謎の少女の幻想劇1巻
12人間昆虫記他人の才能を吸い取って成り上がる女性の話1巻
13紙の砦戦時中の手塚治虫自身を描いた自伝的短編短編(『ゴッドファーザーの息子』に収録)
14バンパイヤ狼に変身する少年と悪の天才少年ロックの話2巻
15七色いんこ代役専門の天才役者で泥棒の男の演劇活劇3巻
16アポロの歌愛を憎む少年が時代を超えて恋と別れを繰り返す話1巻

以下の解説は、1位と2位のあとをジャンル別にまとめています。順位は上の表のとおりです。

有名でも、いま読むと古く感じる代表作は順位から外し、別の表にしました。読む価値がないわけではありませんが、最初の1冊にすると手塚治虫そのものを敬遠するきっかけになりかねません。

作品文庫全集の巻数古く感じるところ読むなら
鉄腕アトム9巻1話ごとの勧善懲悪が中心「地上最大のロボット」だけ
ジャングル大帝2巻1950年代のアフリカの描き方動物の群像劇として
リボンの騎士2巻(なかよし版)+少女クラブ版1巻「男の心」「女の心」という前提少女漫画の始まりとして
ロストワールド・メトロポリス・来るべき世界計2巻デビュー直後の絵とコマ運び漫画史の資料として

人気投票と比べると、上位はほぼ一致します。株式会社WonderSpaceが2024年に100人へ聞いたアンケートでは、1位『ブラック・ジャック』、2位『火の鳥』、3位『鉄腕アトム』、4位『アドルフに告ぐ』でした。違うのは『鉄腕アトム』の扱いで、この3位は読んだ感想より名前を知っている人の票が大きいと見ています。

1位『ブラック・ジャック』:最初の1冊に選ぶ理由

『ブラック・ジャック』は、医師免許を持たない天才外科医が、法外な報酬と引き換えに患者を救う話です。1973年から1983年まで「週刊少年チャンピオン」に連載されました。

最初の1冊に選ぶいちばんの理由は、1話完結であることです。公式サイトによると、はじめは5回だけの読み切り連載の予定でした。それが人気で続き、連載230話と、その後の読み切り13話を合わせて243話になったそうです。どの話から読んでも筋が分かるので、合わなければ数話でやめられますし、合えば止まらなくなります。

医療の描写には、公式サイトの作品解説でも、でたらめも多いと認めています。医学の正確さで読む漫画ではありません。病気や手術を入り口にして、金と命、医者と患者の関係を1話ごとに違う角度から描いているところを読んでください。主人公がなぜ免許を持たないのかは、ブラック・ジャックはなぜ無免許なのかで作中の描写から答えを出しています。

注意したいのは版です。主な単行本は8種類ありますが、どの版を買っても全243話はそろいません。1冊だけ試すなら秋田書店の秋田文庫(全17巻)の1巻で十分です。全話に近い形で読みたくなったら、手塚治虫文庫全集と漫画全集の違いで版ごとの収録の差を確かめてから買ってください。

2位『火の鳥』:最高傑作は「鳳凰編」

『火の鳥』は、血を飲めば永遠の命が得られるという火の鳥をめぐって、人間が争う話を時代ごとに描いた連作です。1編ごとに主人公も舞台も変わり、古代と未来を交互に描きながら、少しずつ現代へ近づいていく構成でした。

本格的な連載は1967年、手塚治虫が創刊した雑誌「COM」で始まりました。その後、掲載誌を朝日ソノラマの「マンガ少年」、角川書店の「野性時代」と移しながら描き継がれ、1988年に終わった「太陽編」が最後の1編になります。公式サイトによると、構想は作者が死亡した瞬間に完結するというものだったそうで、物語は現代にたどり着く前に終わっています。

最高傑作に「鳳凰編」を挙げるのは、話の筋が1編の中できれいに閉じていて、しかもシリーズの主題がいちばんはっきり出ているからです。生まれてすぐ片目と片腕を失った盗賊・我王(がおう)と、我王に腕を傷つけられた仏師・茜丸(あかねまる)が、東大寺の大仏殿の鬼瓦づくりで競い合います。悪人だった我王が仏の道に入り、善人だった茜丸が名声のために堕ちていく。その入れ替わりを、文庫全集なら1冊で描き切っています。公式サイトも、シリーズ全体を通して特に完成度の高い傑作と書いています。

読む順番は、発表された順で問題ありません。文庫全集もその順で、1巻が「黎明編」、2巻が「未来編」、4巻が「鳳凰編」です。公式サイトは「未来編」について、全部を読んだあとでもう一度最後に読むよう勧めています。

各編の出来には差があります。「黎明編」「未来編」「鳳凰編」の3編が頂点で、ここで合わなければ、残りを読んでも印象は変わりません。逆にこの3編で引き込まれたら全編を読む価値があります。「未来編」「宇宙編」「望郷編」はトラウマとして挙げられることの多い編で、その理由は手塚治虫の怖い作品はどれかにまとめています。

版は、最終的な描き直し版で読みたいなら角川文庫(全13巻+別巻)、ほかの作品とそろえるなら文庫全集(11巻)です。

大人が読むなら歴史もの3作

手塚治虫は、少年誌よりも読者の年齢が高い雑誌で、実在の人物や事件を下敷きにした長編をいくつも描いています。大人が読んで手応えがあるのはこの系統です。

3位『アドルフに告ぐ』(全3巻)

第二次世界大戦の前後を舞台に、アドルフという名前の3人の男の運命を追う話です。1人はアドルフ・ヒットラー。残る2人は神戸に住む少年で、ドイツ人外交官の父と日本人の母を持つアドルフ・カウフマンと、ユダヤ人のパン屋の息子アドルフ・カミルは親友同士でした。ヒットラーにユダヤ人の血が混じっているという秘密文書をめぐって、2人の友情が壊れていきます。

1983年から1985年まで、漫画誌ではなく総合週刊誌の「週刊文春」に連載されました。普段漫画を読まない大人に向けて描かれているので、手塚治虫を読んだことがない人でも入りやすい作品です。3巻で終わるので、長編の中ではいちばん手に取りやすい長さでもあります。

秘密文書の話はフィクションです。ただ、当時の神戸の町並みや子どもの遊び、流行歌は細かく描き込まれていて、戦時下の日本の空気をつかむにはこれ以上の漫画はありません。連載中に手塚治虫が入院したため、後半のエピソードは雑誌で大幅に省かれ、単行本にするときに描き足されたそうです。雑誌の切り抜きではなく、単行本で読んでください。

4位『ブッダ』(全7巻)

のちに悟りを開いてブッダと呼ばれる王子シッダルタの一生を描いた長編です。1972年から1983年まで、潮出版社の少年誌「希望の友」から誌名が変わった「少年ワールド」「コミックトム」まで続きました。

シッダルタの周りにいる人物の多くは架空で、実在の人物にも大胆な脚色が加えられています。少年誌の連載なのでアクションも冒険もあり、第1部の奴隷階級の少年チャプラの話は、仏教を知らなくても引き込まれます。

一方で、仏教の入門書として読むのはやめてください。史実と教えを知りたいなら別の本を読むべきで、『ブッダ』は「手塚治虫が生きることと死ぬことをどう描いたか」を読む作品です。『火の鳥』が合った人にはそのまま勧められます。

5位『陽だまりの樹』(全6巻)

幕末の江戸を舞台に、武士として生きようとする伊武谷万二郎(いぶやまんじろう)と、蘭方医の息子・手塚良庵(りょうあん)の2人を描いた大河ドラマです。1981年から1986年まで「ビッグコミック」に連載されました。

良庵は手塚治虫の先祖がモデルで、公式サイトによると、実在の良庵は日本で初めて軍医になった人物です。緒方洪庵の適塾や安政の大地震、コレラの流行など、史実の出来事を2人の視点から追っていくので、幕末ものが好きな人なら6巻を一気に読めます。

手塚作品の歴史もので、いちばん長く、いちばん落ち着いて読めるのがこの作品です。そのぶん起伏はゆるやかで、『アドルフに告ぐ』のような緊張感を期待すると物足りません。

少年誌の娯楽作で読むなら

6位『どろろ』(全2巻)

戦国時代、天下を取るために生まれてくる子の体を48体の魔物に差し出した武将がいました。体の48か所を欠いて生まれた百鬼丸(ひゃっきまる)が、魔物を1匹倒すごとに体を1つ取り戻していく旅の話です。道連れになる孤児の泥棒が、題名のどろろです。

1967年から1968年まで「週刊少年サンデー」に連載され、翌1969年に「冒険王」で第2部が描かれました。設定の強さと2巻という短さで、手塚治虫の少年漫画を1つだけ読むならこれを勧めます。2019年のテレビアニメで知った人にも、原作は短いので確かめやすいはずです。

ただし、サンデーの連載は途中で終わっていて、「冒険王」の第2部で一応の決着をつけた形です。48体の魔物をすべて倒す前に話が閉じるので、結末に物足りなさは残ります。

8位『三つ目がとおる』(全7巻)

額に第三の目を持つ中学生・写楽保介(しゃらくほうすけ)が、古代遺跡の謎に巻き込まれる話です。ふだんは額の目をばんそうこうで隠していて、子どもっぽい性格ですが、はがすと悪魔のような知能と超能力が目を覚まします。

1974年から1978年まで「週刊少年マガジン」に連載されました。同じ時期に『ブラック・ジャック』も描いていて、公式サイトはこの2作を70年代を代表する傑作として並べています。

遺跡や古代史の謎解きが好きな人に向いています。学校のギャグや絵の崩し方には70年代の少年誌らしさが強く残るので、そこは割り引いて読んでください。

14位『バンパイヤ』(全2巻)

怒ると狼に変身する少年トッペイと、その秘密を利用して世界を手に入れようとする少年・間久部緑郎(まくべろくろう)、通称ロックの話です。第1部は1966年から1967年まで「週刊少年サンデー」に連載されました。手塚治虫本人が虫プロの社長として作中に登場します。

面白いのはトッペイよりロックです。公式サイトによると、少年誌では描き切れなかった徹底した悪人を、のちに青年誌であらためて描いたのが『MW』です。『MW』が気に入った人は、その原型として読むと楽しめます。

15位『七色いんこ』(全3巻)

どんな役でも見事に代役をこなす天才役者・七色いんこが、実は舞台の客席から金品を盗む泥棒だった、という話です。1981年から1982年まで「週刊少年チャンピオン」に連載されました。

毎回、シェークスピアから歌舞伎まで実在の演目を下敷きにしていて、演劇好きの手塚治虫が遊んで描いたのがよく分かります。元の戯曲を知っている人ほど楽しめる作品で、演劇に興味がなければ面白さは半分になります。

16位『アポロの歌』(全1巻)

母親への反発から愛を憎むようになった少年・近石昭吾(ちかいししょうご)が、愛の女神に試練を課され、時代を変えて恋と別れを繰り返す話です。1970年に「週刊少年キング」に連載されました。2025年には佐藤勝利と髙石あかりの主演で実写ドラマになっています。

少年誌で性と愛を正面から描こうとした作品です。ただ、当時の性教育の語り口はいま読むと説明がくどく、公式サイトの作品解説も、主人公がかげのある人物になったと書いています。ドラマから入った人が原作を確かめるための1冊と考えてください。

大人向けの暗い作品で読むなら

1970年代の手塚治虫は、青年誌で救いのない話を立て続けに描いています。ファンの間で「黒手塚」と呼ばれる作品群です。怖さの順位と読める版は手塚治虫の怖い作品はどれかで判定していて、ここでは読む価値だけを書きます。

7位『奇子』(全2巻)

青森の大地主の家に生まれた少女・奇子が、家の犯罪を目撃したために、4歳で土蔵に閉じ込められる話です。1972年から1973年まで「ビッグコミック」に連載されました。

奇子は土蔵の中で20年あまりを過ごし、外の世界を知らないまま大人になります。戦後の農地改革で没落していく地主一族と、国鉄総裁が死んだ下山事件を思わせる謀略事件が重なり、占領下の日本の息苦しさを、1つの家族の中で描き切っています。救いはありませんが、話の組み立ては手塚作品の中でも一、二を争う緻密さで、暗い作品が平気なら上位5作と同じくらい勧めます。

9位『MW』(全2巻)

少年時代に島民を全滅させた毒ガス事件に巻き込まれ、そのガスで脳を冒された銀行員・結城美知夫(ゆうきみちお)が、事件を闇に葬った者たちへ次々に復讐していく話です。1976年から1978年まで「ビッグコミック」に連載されました。

結城は最後まで改心しません。彼を止めようとして止められない賀来(がらい)神父との関係には、男性同士の肉体関係も含まれます。悪人を主人公にした話が読みたい人向けで、読後感のよさを求める人には合いません。

10位『きりひと讃歌』(全2巻)

体が犬のように変形して死に至る奇病「モンモウ病」を調べていた医師・小山内桐人(おさないきりひと)が、自分も発病してしまう話です。1970年から1971年まで「ビッグコミック」に連載されました。

見た目が変わった途端に人として扱われなくなる桐人の旅と、大学病院の権力争いが並行して進みます。医療ものという点で『ブラック・ジャック』の裏側にあたる作品で、あちらを気に入った大人には次の1作として勧めます。

11位『ばるぼら』(全1巻)と12位『人間昆虫記』(全1巻)

どちらも1巻で読み切れる、芸術家を主人公にした話です。

『ばるぼら』は、人気小説家の美倉洋介(みくらようすけ)が駅で拾った汚れた少女ばるぼらを家に置くようになり、そのたびに筆が冴える話です。1973年から1974年まで「ビッグコミック」に連載されました。ばるぼらが女神なのか、美倉の妄想なのかがはっきりしないまま進むので、筋より雰囲気を楽しむ作品です。

『人間昆虫記』は、芥川賞を取った若い作家・十村十枝子(とむらとえこ)が、実は近づいた相手の才能を吸い取って作品を盗んでいた、という話です。1970年から1971年まで「プレイコミック」に連載されました。十枝子は最後まで悪女のままですが、ラストで一度だけ本音をこぼします。1巻で終わる大人向けの手塚作品を1つ選ぶなら、こちらのほうが筋が追いやすいです。

短く1本だけ読むなら『紙の砦』

13位の『紙の砦』は、1974年に「少年キング」に載った短編です。戦争末期、中学生だった手塚治虫自身が主人公で、軍事教練や軍需工場への動員、空襲の中で漫画を描き続けた日々を描いています。

教官に見つからないよう学校の便所の壁に自作の漫画を貼って読ませた話や、終戦で灯火管制が解けた街の明かりを見て「僕は生きのびたんだ」と喜ぶ場面は、手塚治虫を語るときに繰り返し引かれるエピソードです。手塚治虫という人に興味を持った人が、作品へ入る最初の1本としてはいちばん短く、いちばん直接的です。公式サイトのアクセスランキングでも、2026年9月時点で3位に入っています。

文庫全集では単独の巻がなく、『ゴッドファーザーの息子』の巻に、同じく自伝的な短編と一緒に収録されています。

いま読むと古く感じる代表作

ここからは、有名なのに順位を付けなかった作品です。手塚治虫の歴史を語るうえでは外せませんが、読んで面白いかと聞かれれば、いまの読者には勧めにくい作品が並びます。

鉄腕アトム(全9巻)

21世紀の未来を舞台に、10万馬力のロボット少年アトムが活躍する話です。1952年から1968年まで光文社の「少年」に連載され、1963年には日本初の1話30分の連続テレビアニメにもなりました。

16年分の連載で、ほとんどが悪者をアトムが倒す勧善懲悪の話です。子ども向けに描かれていて、1話ずつの話も短いので、大人が9巻を通して読むと単調に感じます。

読むなら、1964年から1965年に連載された「地上最大のロボット」だけで十分です。世界の優秀なロボットを次々に破壊していくロボット・プルートウとアトムの戦いを描いた長めのエピソードで、浦沢直樹の『PLUTO』の原作にあたります。2023年にNetflixで配信されたアニメ『PLUTO』を見た人は、原作との違いを確かめる意味でも読む価値があります。

ジャングル大帝(全2巻)

アフリカの白いライオン・レオが、人間に育てられたあとジャングルへ戻り、動物たちの王になる話です。1950年から1954年まで学童社の「漫画少年」に連載されました。

公式サイトは、普遍的なテーマなのでいま読んでも十分な読みごたえがあると書いています。レオの成長を追う物語の太さはその通りです。引っかかるのは、1950年代の日本の漫画が共有していたアフリカとアフリカの人々の描き方で、いま読むと差別的に見える絵が出てきます。1990年に黒人差別をなくす会の抗議を受けて講談社の『手塚治虫漫画全集』などは一時出荷を止め、1992年3月から「読者の皆様へ」という断り書きを挟んで販売を再開しました。

『ライオン・キング』との盗作論争で名前を知った人も多い作品で、どちらが先で何が似ているのかはジャングル大帝とライオン・キングの関係で判定しています。

リボンの騎士(なかよし版2巻+少女クラブ版1巻)

天使のいたずらで男の子の心と女の子の心を両方持って生まれたサファイヤ姫が、王子として育てられ、騎士として戦う話です。最初の版は1953年から1956年まで講談社の「少女クラブ」に連載されました。文庫全集の2巻はのちの「なかよし」版で、最初の少女クラブ版は別の1巻に入っています。公式サイトは日本のストーリー少女漫画の第1号としています。

ただ、勇ましさを「男の心」、恋心を「女の心」に割り振る前提そのものが、いま読むと古く感じます。少女漫画の始まりとして読むなら価値がありますが、いきなり面白さを期待する作品ではありません。Netflixの『リボンヒーロー』とどう違うかはリボンヒーローと原作の違いで書いています。

ロストワールド・メトロポリス・来るべき世界(計2巻)

手塚治虫がデビューして間もない1940年代の終わりから1950年代の初めに、大阪の出版社から描き下ろしの単行本として出したSF長編です。初期SF三部作と呼ばれ、手塚治虫が長編のストーリー漫画を確立していった時期の作品です。

ただ、絵もコマ運びもデビュー直後のもので、同じSFでも『火の鳥』とは比べられません。漫画の歴史に興味がある人が資料として読む作品で、手塚作品を楽しむ入り口にはなりません。

どの版で読めばいいか

複数の作品を読むつもりなら、講談社の「手塚治虫文庫全集」がいちばん確実です。上の順位表の16作はすべて入っていて、電子版は全200巻が配信されています。作品ごとに巻が分かれているので、読みたい作品の巻だけを買えます。

例外は2つあります。『ブラック・ジャック』は文庫全集でも全話はそろわないので、どの話を読みたいかで版を選んでください。『火の鳥』は、最終的な描き直し版で読みたいなら角川文庫です。版の違いと選び方は手塚治虫文庫全集と漫画全集の違いで表にしています。

家に古い「手塚治虫漫画全集」があるなら、読むにはそれで十分です。読み終えて手放すときの相場は手塚治虫全集の買取相場を見てください。

参考