アドルフに告ぐ全巻は何冊?手塚治虫の漫画、紙なら文庫全集3冊

結論:紙なら手塚治虫文庫全集の全3巻、電子なら漫画全集版の全5巻

手塚治虫の『アドルフに告ぐ』は、版によって全3巻、全4巻、全5巻と巻数が違います。どの版も物語は最後まで入っているので、「この版だと結末まで読めない」という心配はありません。

紙の本で買うなら、講談社の手塚治虫文庫全集(全3巻)にしてください。いま新品で買える紙の版の中で、冊数がいちばん少なく、合計2,893円(税込)といちばん安くなります。

電子書籍なら、手塚プロダクションが出している手塚治虫漫画全集版(全5巻)が安く、定価は1冊330円、全巻で1,650円です。2026年10月20日時点ではKindleで1冊231円(全巻1,155円)に下がっています。

連載当時の形で読みたい人だけは、国書刊行会の「オリジナル版」(22,000円)が候補になります。ほかの版は、単行本にするときに手塚自身が描き直した形で入っています。

『アドルフに告ぐ』の版と全巻の冊数

『アドルフに告ぐ』は、1983年1月から1985年5月まで『週刊文春』に連載された長編です。神戸に住むドイツ人の少年アドルフ・カウフマンとユダヤ人の少年アドルフ・カミル、そしてアドルフ・ヒトラーの3人のアドルフを軸に、ヒトラーの出生の秘密をめぐる話が進みます。

手塚治虫公式サイトによると、手塚は連載中に体調を崩して入院し、後半のエピソードは大きく削られたまま連載が終わりました。そのため、1985年に文藝春秋から最初の単行本が出たときに、削った部分が描き加えられています。

それから40年のあいだに、出版社を変えて何度も出し直されてきました。主な版をまとめます。

版出版社巻数刊行
単行本文藝春秋全4巻1985年
文春コミックス文藝春秋全5巻1988年
文春文庫ビジュアル版文藝春秋全5巻1992年
手塚治虫漫画全集講談社全5巻1996年
手塚治虫の収穫小学館全3巻2008年
文春文庫文藝春秋全4巻2009年
手塚治虫文庫全集講談社全3巻2010年
オリジナル版国書刊行会全3巻+別冊2020年

このほか、上下2巻にまとめた廉価版が、小学館(2003年)、三栄書房(2014年)、秋田書店(2016年)から出ています。1996年の手塚治虫漫画全集は、いま電子書籍で売られている全5巻の元になった版です。

表の中で、いま書店で新品を注文できるのは、手塚治虫文庫全集、2009年の文春文庫、オリジナル版の3つです。1985年の単行本と1992年の文春文庫ビジュアル版は、紀伊國屋書店のウェブストアで「ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません」と表示されていて、手に入れるには中古を探すことになります(2026年10月20日時点)。

ページ数の合計は、単行本と文庫全集が1,280ページ、文春文庫が1,312ページで、大きな差はありません。巻数の違いは、1冊にどれだけ詰めたかの違いです。

全巻そろえるといくらか

値段は出版社の定価です(税込、2026年10月20日時点)。

版巻数1冊の値段全巻の合計電子版
手塚治虫文庫全集(講談社)全3巻935〜1,023円2,893円あり(1冊880円)
文春文庫(文藝春秋)全4巻880〜946円3,707円なし
オリジナル版(国書刊行会)全3巻+別冊箱入りのセット22,000円なし
手塚治虫漫画全集(手塚プロダクション)全5巻330円1,650円電子のみ

紙で読むなら、文庫全集と文春文庫のどちらも文庫判です。文庫全集は同じ話を1冊少ない3冊に収めていて、合計で814円安くなります。文春文庫を選ぶのは、第4巻に付いている漫画家いしかわじゅんの解説を読みたい人だけで十分です。

文庫全集の第3巻の巻末には「あとがきにかえて」として、手塚が完結した1985年から翌年にかけて語った回想やインタビューが入っています。作者がこの作品をどう振り返ったかを知りたい人にも、文庫全集が向いています。

表のほかに、丸善ジュンク堂の「手塚治虫全集オンデマンドブック」でも紙の本を注文できます。注文を受けてから印刷する方式なので、品切れになりません。判型はB5かB6で、文庫より大きな本で読みたい人向けです。

オリジナル版は何が違うのか

2020年に国書刊行会から出たオリジナル版は、『週刊文春』に載ったときの形をそのまま復刻した版です。出版社は「連載時の扉や単行本化で削除されたページ、改変された台詞を復元」と紹介しています。

出版社によれば、雑誌に載った形を完全に復刻したのはこの版が初めてです。連載で読んでいた人が覚えている扉絵や、単行本でなくなったページを読むなら、この版を選ぶことになります。

別冊には、単行本版のラストと描き下ろしページ、2代目の担当編集者へのインタビュー、手塚のあとがきやインタビュー、キャラクターデザインなどの資料が入っています。

ただし22,000円で、B5判の大きな本が3冊と別冊です。話を読むだけなら文庫全集で足ります。オリジナル版は、すでに一度読んだ人が手元に置くための版と考えてください。

電子書籍で買うなら

電子書籍は2種類しかありません。

電子版巻数1冊の値段(税込)全巻の合計
手塚治虫漫画全集版(手塚プロダクション)全5巻330円1,650円
手塚治虫文庫全集版(講談社)全3巻880円2,640円

値段はBOOK☆WALKERの表示です。主要な電子書籍ストアで売られているのはこの2種類で、文藝春秋の版は見当たりません(2026年10月20日時点)。

中身はどちらも同じ単行本版の話なので、電子で読むなら漫画全集版の5冊で十分です。全巻で990円安くなります。

2026年10月20日時点で、Kindleでは漫画全集版が1冊231円、全5巻で1,155円に下がっています。Kindleの値段は予告なく変わるので、買う前にストアで確かめてください。

『アドルフに告ぐ』は、Kindle Unlimitedの読み放題には全5巻とも入っていません(2026年10月20日時点)。読み放題に入っている手塚作品は手塚治虫のKindle Unlimited対象作品にまとめています。

安く読む・無料で読む方法

いちばん確実なのは、電子書籍のセールを待つことです。手塚治虫公式サイトのニュースを見ると、『アドルフに告ぐ』はこれまでに以下のセールで30%引きになっています。

期間ストア内容
2024年8月6日〜8月19日ebookjapanセット割30%オフ
2024年10月16日〜10月29日ebookjapan全巻セット30%オフ(秋の長編フェア)
2024年12月24日〜2025年1月6日ebookjapan全巻セット30%オフ
2025年10月6日〜10月19日ebookjapan全巻セット30%オフ(秋の長編フェア)
2026年7月24日〜8月6日Kindle1〜5巻が30%引き
2026年8月5日〜9月5日ebookjapanなど13ストア30%オフ(手塚治虫と戦争を描いたNHKの特集ドラマに合わせたセール)

ebookjapanの秋の長編フェアには2024年と2025年の2年続けて入っています。買う時点で定価の330円に戻っていたら、夏か秋のセールを待つと安く買えます。手塚作品のセール全体の傾向は手塚治虫の電子書籍はどこで読める?で書いています。

『アドルフに告ぐ』を名指しした無料公開の告知は、2026年10月20日時点ではありません。過去には、2017年と2018年に小学館のアプリ「マンガワン」で連載形式で配信され、アプリ内でたまるポイントを使って無料で読めました。2023年3月31日から4月30日には、auブックパスの読み放題に1〜3巻が入ったこともあります。こうした機会は不定期です。

お金をかけずに読むなら、近くの公共図書館の蔵書検索で、手塚治虫文庫全集か文春文庫を探すのが確実です。ほかに合法的に無料で読める手段は手塚治虫の漫画を無料で読む方法にまとめています。

中古で買うなら

中古なら、もっと安くそろいます。BOOKOFFオンラインでは、1992年の文春文庫ビジュアル版が1冊220〜495円、2009年の文春文庫が1巻550円・2巻330円で出ていました(2026年10月20日時点。文春文庫の3・4巻は新品だけで、在庫は巻ごとに入れ替わります)。

中古で気をつけたいのは、版を混ぜないことです。文春文庫は全4巻、ビジュアル版は全5巻で、巻の区切りがずれています。たとえば文春文庫の2巻とビジュアル版の3巻を組み合わせると、話が重なったり抜けたりします。どちらも「文春文庫」なので、中古でそろえるときは商品ページのISBNを見てください。2009年版は「978-4-16-7757」、ビジュアル版は「978-4-16-8110」で始まる番号です。

買う前に作品の中身を知りたいなら

『アドルフに告ぐ』は、神戸を舞台にした前半から中盤の緊張感が見どころで、終盤はやや駆け足です。どこが評価されていて、どこが弱いのかはアドルフに告ぐの評価で判定しています。

ほかの手塚作品もまとめて読むつもりなら、文庫全集で集めると本棚の判型がそろいます。文庫全集と漫画全集の違いは手塚治虫文庫全集と漫画全集の違いで比べています。

参考